夜の国のクーパー(著者/伊坂幸太郎)

夜の国のクーパー(著者/伊坂幸太郎)

好きな作家さんのひとり、伊坂幸太郎さんの小説。
この作品は完成までに2年半近くかかったそうです。

今回は猫目線からの話もあり、猫の魅力も味わえます。

ある国が戦争に負け、支配されることになりました。
その支配される側に住んでいる猫のトムは、ある日、漂着した公務員の男を見つけ、今の国の現状を話し出します。
なぜか、公務員は猫語がわかったのです・・・

最初、猫が必要なのか、話す必要があるのか、この公務員は必要なのか・・・最初はそう思いました。
だけど、伊坂幸太郎さんの小説はよくそういうことがあるので、後でやっぱり必要なんだなと納得いく答えを出してくれるのだろうと、楽しく読み進められます。

読んでいるうちに、重要なことを忘れて(忘れさせる?)、ラスト近くになり、「あー!あれがこういうことで、これがこういうことだったのか!」と、話の流れがうまいなと思います。
注意深く読んでいるはずなのに、読んでいるうちにいつの間にか欠落していく情報があり、いつも「あ、今回もやられちゃったな!」ってなってしまいます。

私みたいなタイプは、伊坂幸太郎さんの小説はとても楽しめるかと思います。

いつもの伊坂流の構成、セリフにもにやっとしたり、くすっとさせられ、結末は気分が爽快になります。
社会風刺な感じで、いろいろ考えさせられます。
伊坂さんの作品にはいつも考えさせられる要素が入っています。

読む前、装丁を見た時、なんだか暗い地味な感じで、猫が出てきたりするファンタジックな物語らしいのに、何でだろう?と思っていました。
でも、全て読んだ時、社会風刺のことを考えた時に、なるほどこういう装丁になるのかもしれない・・・と思いました。
ただ、伊坂幸太郎さんを知らない人にとっては、本屋で見て、手に取ろうかなと思う装丁ではないような気がしました。

夜の国のクーパー