猫鳴り(著者/沼田 まほかる)

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この小説は、3部に分かれていますが、全て猫の「モン」が登場します。
生まれて間もない仔猫の頃から死まで。
その間にかかわった人間との話が描かれています。

第1部では、伸枝の闇、第2部では行雄の闇、第3部では藤治の闇が描かれています。
心の闇をもつ人間の側に「モン」は登場します。
生きることも死ぬことも置かれている環境にも自然に静かに受け入れている「モン」。

第3部の藤治とモンが老後から死に向かうまでの物語は、悲しい話のですが、なぜか何度も読み返したくなります。
そこには、モンの静かに自然に全てを受け入れる姿の存在感に圧倒されるからでしょうか。
非常に猫の姿と藤治の様子を細かく描写されています。

うちのルビーとネルを「モン」に、藤治を自分自身に重ね合わせ、読むのも辛いのですが、その時のことも考えさせられました。
彼らは自然に受け入れていくのだろうと。
でも、私は藤治と同じようにオロオロしたり、何度も自問自答を繰り返すのかも知れません。

愛猫家には辛い話かも知れません。
でも、「モン」の自然な姿にものすごい存在感があり、ぜひ読んでいただきたい本でもあります。

沼田まほかるさんはこの小説がきっかけで好きになった作家さんです。
他の小説はホラー系が多い中、この小説は違いますね。

猫鳴り (双葉文庫)